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歴史キャッチフレーズをつくろう

 

成田喜一郎

 

 

 

 

 

1 歴史キャッチフレーズ集(抄録)

 

◎歴史のはじまり〜ギリシア・ローマ編

 

何も想像つかない、それは無しかない無 (ビッグバン以前、浩平)

時・空・物の作り方わかりますか (擬人法=ビッグバン、倫明)

『人間は大雨の一滴』〜地球から見た僕たち〜 (地球と生命、人間の小ささ、浩之)

我等の故郷アフリカ大陸!400万年の時を超え (アウストラロピテクスの出現、正一郎)

「敵」だと思っていたけど、いいやつだよ、火は (仮説・火の発見、裕)

火で遊ぶ子どもたちの好奇心 (仮説・火の発見、亮)

子供のままに大きくなろう (仮説・火の発見、真梨子)

大人も子供もこどもになりましょう (仮説・火の発見、慎太郎)

流るる希望 (「エジプトはナイルの賜物」真代)

私はたくさんの人に造られ、今ではたった一人を守っています (擬人法=ピラミッド、玄)

星と時はいっしょにみるものです (天文学と暦の発達、知大)

親にいつも言われるあの一言「あれになれ、これになれ」 (古代エジプトの親の言葉「書記になれ」暁子)

ライオン狩りは王の象徴・古代アッシリア王の特権 (展覧会を見て、伸吾)

今この時、少年の夢で歴史が変わる (シュリーマン、紗綾)

情熱は歴史を見つける手がかりだ (古代への情熱、俊男)

ポリスが集まり競技会、それが今では世界大会 (広)

「私たちはなぜ笑われる? 私たちはなぜ笑われているの? 私たちはなぜ笑われなければならないのだろう」 (古代ギリシアにおける女性の地位とギリシア喜劇「女の議会」、利栄)

ポリスの政治、野村さちよがいたらどうなるの? (古代ギリシアにおける女性の地位、朝枝)

自分の道具があれば好き勝手使うでしょう? (ものを言う道具、知可子)

24時間、年中無休で営業しています byドレイ (亮)

支配されたがうらんでいない! (アレキサンダー大王のギリシア征服、まどか)

私は知っています、人間の無残な死のゲームを (擬人法=コロセウム、公美)

「どんなに楽しかったことか……」ローマ市民のつぶやき (コロセウムでの競技観戦、佳菜)

貧しき者? 信ずる者? さて、どちらを救おう (擬人法=神、聖書の変遷、明奈)

私はあなたを架けるために生きているのではない (擬人法=十字架、加奈子)

 

◎インダス文明・中国古代史編

 

始まっていたいじめ!・古代インダスにて (カースト制度、秀明)

わたしの下で一つの心が もう一つの心のとびらをあけました (擬人法=菩提樹、夏佳)

私をあげてください。私を飲んでください。人々は平等になれます。人々は愛し合えます。 (擬人法=スジャータのミルクがゆ、奈緒) 3500年ぶりの空…… 王氏マラリアにかかって良かった (殷王の墓発見、啓介)

一人の王の死で、新しい家族ができます (擬人法=殷王の墓、まり)

今なら間に合う、あなたの名誉 死後の世界の保証つき (殉死、牧子)

殷王と共にいってきます (殉死、敦子)

殷にもはにわがあったらなあ (殉死、典嗣)

下には炎、横には兵士、上は天国、どちらに行ってもあの世ゆき (炮烙の刑、祟彦)

銅の橋、渡っても渡らなくても最後に渡るは三途の川 (炮烙の刑、祟彦)

炮烙の刑 参加者募集中 これができればナント無罪!〔注〕命の保証はいたしません (莉沙)

炮烙こそが死の美学 民の恐怖がわらわの喜び! (絵美)

もしかして、もしかして生きのびられる炮烙の刑 (弘之)

怖いし、熱いし、もう逃げられないし (炮烙の刑、広)

180もの血縁関係から173の諸侯をひくと…… (春秋時代から戦国時代七雄へ、佳菜子)

個人としては独立しうる資格。倫理学では道徳行為の主体。心理学では行動の主体。社会学では共同生 活の主体。そう、「人格」の学問を大切に。 (孔子の儒教=「人格の学問」、泰一郎)

諸子百家、迷ったあなたを助け出す、老子!孔子よう! (央行)

人為無為増加と減少孔子と老子 (龍之介)

「私はわからない何もしないことがいいことなんて」孔子 (悠太)

すべてを捨てたら水になれる (老子の思想、久美子)

学校の教科書に老子の思想を取り入れましょ (大城朝枝)

「王」という名を捨てた男 秦の始「皇帝」 (淳一朗)

人だせ、税だせ、儒者をだせ! (秦の始皇帝、哲也)

取った、つなげた、得をした? (秦の始皇帝・万里の長城、健)

やっと発見!秦の分銅 はかりの大もと 各地で多数発掘! (秦始皇帝の中国統一、奈緒)

みんなの苦しみや悲しみがいつしか集まり洪水へ (万里の長城・孟姜女の伝説、紗矢子)

数百万人の汗と涙のかいもなく (万里の長城・孟姜女、裕芙子)

私のお腹の中に遺骨はいりません (擬人法=万里の長城・孟姜女の伝説、沙知)

信じてくれた匈奴を裏切り地位と名声手に入れた (張騫の西域探検、千春)

 

◎その他編

 

「まわりの人に流されすぎてはいませんか? 自分の考えに自信を持つこと!」相沢忠洋さんの言葉 (純子)

ここはね、昔の昔の小さな小さな夢の島 (貝塚、有子)

 

 

2 キャッチフレーズをつくり終えて

 

◎体験の意味を考える!

 

「考えに考え抜く」

キャッチフレーズをつくるには何十年、もしくは何百年という歳月の中でおこった出来事をわずか何文字かで表さなくてはいけない。そのためみんな考えて考えて、その出来事の中の大切なキーワードをぬきだして文にする。みんなのキャッチフレーズを読むと、まさに理想的なキャッチフレーズばかりだった。長い歴史の要点を考えに考えぬいてぬきだし、それをいかにわかりやすく文にするかなやんだと思う。そうして出来上がったキャッチフレーズは、ほんとうにいいキャッチフレーズだと思う。 (奈緒)

 

「作る人見る人」

人の興味を引いて、おもしろく、わかりやすく、短い語でその時代が見えてくる。作る人は、作ることによってその時代を整理することができるし、見る人は見ることによって記憶を定着させやすくなる。課題は1つの見方にとらわれやすいことだと思います。 (亜紗)

 

「数えきれないほどの事実分の1」 (亮)

 

「知・理・思」

それは三色の糸をつむぎだす/そしてとけ合い新しい色をつむぎだす/そして一つの布となり、ほとなり、船を動かす/そして船は新しい大地を見つける/そして新しい大地に根が生え、枝が伸び、花が咲く/そして花は美しい (啓介)

 

「キャッチフレーズは奥が深い」

その時代の事がとても短く、そして覚えやすくまとめられているキャッチフレーズはおくが深いものだ。おくが深いということは、短いことばでも多くのことがつめこめるというところが、キャッチフレーズのよいところだと思う。単元ごとにキャッチフレーズをまとめて、その学習をより深めたいと思う。 (成志)

 

「少ない情報から大きい情報が」

キャッチフレーズを読むと、キャッチフレーズの中の少ない情報から大きい情報を想像したりして自分がどれだけそれについて理解しているかがわかります。 (遼)

 

「1フレーズ読むだけで内面まで判ってしまう」

教科書や資料集を読んでもあまり覚えられない事柄を、たった1フレーズ読むだけで内面まで判ってしまうのはキャッチフレーズのもつ長所だろう。その文字一つ一つが教科書の何行にも値する。ヘロドトスの「エジプトはナイルの賜物」ということばも同じである。つまり、印象に残るのである。 (真代)

 

◎相互に啓発が起こった!

 

「その時代の人達の視点」

その時代の人達の視点から見てみると、いろいろなことが分かった。なぜならば、「北澤くん」の作品では、ぼくは「天文学」と「太陰暦」とはべつべつに覚えていたけれど、2つが重なってその時代ができたことが分かった。直球ではなく変化球でいきたい。 (進)

 

「同じ世代の人が作ったものなのでしたしみやすい」

歴史キャッチフレーズは俳句のように短い言葉で的確に5W1Hを表すものだと思う。成果として、1、よく頭に入る、2、面白いの学習意欲がわく、3、同じ世代の人がつくったものなのでしたしみやすい。これらの理由キャッチフレーズ作りはすぐれた勉強法で歴史の学習としてもやくだった。 (伸吾)

 

「みんなもそれを想像して考える」

まず、書く時点で成果はあると思います。なぜなら、歴史を知ってそれを自分なりに表現するからです。そして、それをみんなが読んで、みんなもそれを想像して考えます。それにそのキャッチフレーズのおくにかくされている歴史の背景も知ることができます。 (美智子)

 

「友達がどのように歴史を感じているか」

私ははじめ「歴史キャッチフレーズをつくって下さい」と先生が言ったとき、正直いって「はぁ?」と思いました。そんなことやって何に役に立つのか、時間のムダではないのかと思いました。でも、つくってみると意外と楽しく、役にも立ったのです。キャッチフレーズから分かる歴史の流れを自分で読みとることができます。友達の作品を読んでいて、友達が歴史についてそのように感じているか分かるのでとても良いものです。 (加奈子)

 

「視点を変えてみるといい」

歴史をキャッチフレーズにするとき、うらにひめられたことを考えて作るといいと思う。そうすれば、その時代がどのようだったかが見えてくる。たとえば、視点を変えてみるといい。どれいのことを言いたいならば、どれいを使っている人たちの視点で書いたり、ピラミッドから見た世の中を見たり。そうすれば、力の強いひとたちの言い訳とはまたちがった世界が見えてくると思う。それから、現代とくらべて、にている点を探したりするとより理解がふかまると思う。 (智美)

 

「友達が自分の思いもつかないフレーズをつくる」

キャッチフレーズは抽象的です。あまりにも抽象的なので、それを理解できるようになろうと思う。そうすると、授業でただ聞いているだけのときよりも意欲が出てくるし、頭の中にも入っていく。これはかなり成果があると思います。これが友達のつくったものであるから興味を持つ、ということもあります。普段の友達が自分の思いもつかないフレーズをつくる、だから興味を持つ。別の視点に感心したり共感したりする。そうすることで頭に残る。 (茉莉絵)

 

「その時代の人や物になりきりその心境を理解する」

キャッチフレーズをつくることによって(読むことによって)その時代の人の心境、物の心境を理解することができた。キャッチフレーズにすると覚えやすい。擬人法を使ったりして、物や人になりきれるので、テーマを決めると書きやすい。自分以外の人と全く違う立場で書いたりするので、読み比べると楽しかった。また、やりたいと思う。 (まどか)

 

「僕はそうは思わないなど色々な受け止め方も」

キャッチフレーズ集は一人一人のそれぞれの歴史の受け止め方がわかって、大変面白いし、よかった。「これは面白い」「ええ〜、僕はそうは思わない」などと読んでいる側でも色々な受け止め方ができた。しかし、問題は、あまりに「キャッチフレーズ」という形式を重視しすぎて、下手をすると、「何が言いたかったの?」となってしまう。最後に、キャッチフレーズの最大の利点(良い点)を挙げるとすれば、文章ではないという点である。長ったらしい文で詳しい説明を読むのもいいが、一言でぱっとわかる色々な工夫ができるのがキャッチフレーズ。 (正一郎)

 

「作者が何を考えながら作ったのか判りませんが」

私は「ここはね、昔の昔の小さな夢の島」について書きたいと思います。この文を読んで夢の島とは何か考えたいと思います。まず一つは、地球ができる時、または、できた時について書いたものでここから夢がたくさん生まれてくるからです。2つめは、できたての日本です。これも同じようにここからたくさんの夢が生まれてくるからです。作者が何を考えながら作ったのか判りませんが、私はこの二つのものだと思います。 (綾乃)

 

「人間というのは同じことを学んでいても感じとるものがこんなにちがう」

人間というのは、同じことを学んでいても、感じとるものがこんなにちがうんだと思いました。例えば、古代四大文明にしても、一人ひとりの書き方や言葉などそれぞれちがっています。それは、さきほども書いたように同じことを学んでも感じとるものは ちがう!!からなんです。(人間、考えることも顔も性格もなにもかも同じだったらすごくこわいし、つまらないですものね(?)) (奈緒)

 

 

3 授業者からのことば

 

◎ ねらい・ねがい

 

(1)  学習した歴史的事象を直観や想像力などをもとに再構成し、キャッチフレーズに表現する力を身につける。

(2)  キャッチフレーズに秘められた歴史的事実を探り合い、互いの歴史認識と歴史的想像力を深める。

 

◎ 方法・手順

 

(1)  キャッチフレーズとは何か(定義を知る)

「人の注意をひくように工夫した簡潔な宣伝文句」(広辞苑第四版)

    事例・・・・・深川英雄『キャッチフレーズの戦後史』(岩波新書、1991年)より

 

(2)  歴史・学習キャッチフレーズを作ろう

この4月から行ってきた歴史学習を振り返り、あなたのこころやあたま等にもっとも 強く印象に残ったことがらを探し、それをキャッチフレーズにしなさい。また、そのキャッチフレーズを他 者にわかりやすく解き明かす解説も書きなさい。

 

(3)  歴史・学習キャッチフレーズのつくり方(方法を知る)

ア) 歴史を見る視点(立場)を定める。(その時代あるいはその時代以外の人・物などの視点で)

  イ) 史・資料を読み込む。(教科書・「ときのまほろば」・資料集など)

  ウ) 定めた視点(立場)で、時代の特色・異色をつかむ。

  エ) 歴史・学習キャッチフレーズ(1つ以上)を創作する。

  オ) その歴史・学習キャッチフレーズの解説を書く。

  カ) 1つのキャッチフレーズと解説をB6カード1枚に書く。

 

◎ ねらい・ねがいを超えて

 

これまでに学習した歴史的事実・事象を直観や想像力などをもとに再構成し、歴史キャッチフレーズに表現する力を身につけてほしい。

また、キャッチフレーズに秘められた歴史的事実を探り合い、互いの歴史認識と歴史的想像力を深めてほしい。

これが、授業者のねらいでありねがいでした。

そのねらいねがいは、以上の作品そのものや感想を見る限りおおむね達成できたとい言ってもいいでしょう。

否、そのねらいねがいを超えた50期生たちの多様な歴史認識、鋭い直観やしなやかな歴史的想像力には驚嘆するばかりです。

 

 

 

 

 

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