ホリスティック教育カリキュラムの理論
成田喜一郎
(1)ホリスティック教育を支える哲学
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世界は、一見バラバラに分断されているように見えるが、根源的に1つのもの(一如) であり、人間はすべてのものと〈つながり〉合っている。
A
世界と人間一人ひとりとの〈つながり〉は、理性や論理だけではなくそれらとこころでつながる感性や直観、魂にふれる「対話」によって根源的な認識や洞察をすることができる。
B
価値観やものごとの有意味性は、その〈つながり〉に気づきそれを自覚するところから生まれてくる。
C
この世界における社会の不正や困難など様々な問題や課題に立ち向かう社会変革への行動は、人間がこの〈つながり〉を自覚したときにこそ生まれてくる。
〔ジョン・P・ミラー(1994)『ホリスティック教育 いのちのつながりを求めて』(春秋社、PP.36-37要約)
(2)ホリスティック教育の定義と理念
ホリスティックな教育とは、論理的な認識と直観的な洞察とのバランスを意識しつつ、人間・時間・空間・事物・情報・精神などとのつながりに気づき、そのよりよいつながり方=〈自立共生・共生共存〉への自己変革及び社会変革をめざす子どもたちを指導・支援、促進する営みのことである。
@バランス(つりあい)
バランス(つりあい)とは、男性性と女性性、自律独立と相互依存、量と質、外向と内向、合理性と直観、経済成長と環境調和、ヒエラルヒーとネットワーク、技術と意識、物質主義と精神性、国家と地球・地域などの両極間のバランスを意味する。ホリスティックな教育は、グローバルな変化の時代に呼応してこれら両極間のバランスの回復を探ってゆく。
A包括性(つつみこみ)
包括性(つつみこみ)とは、子どもたちへの知識・技能の伝達を中心とした(A)トランスミッション、認知レベルの学習内容と子どもたちとの対話・交流を中心とした(B)トランスアクション、人間の存在全体を組み込んだ学習内容と子どもたちとのつながりを中心とする(C)トランスフォーメーションという3つ基本的な学習スタイルの結びつき方を意味している。
ホリスティックな教育は、(A)トランスミッション型学習(伝達)や(B)トランスアクション型学習(交流)のスタイルをもつつみこみながら、「伝える」「分かち合う」「変わりゆく」第三の学習(C)トランスフォーメーション型学習(変容)を中心に据えて実践する。
Bつながり
つながりとは、論理的思考と直観とのつながり、からだと心のつながり、様々な教科のつながり、コミュニティとのつながり、地球とのつながり、〈自己〉とのつながりなどを意味している。
〔ジョン・P・ミラー(1997)『ホリスティックな教師たち』学習研究社、PP.9-29〕
(3)ホリスティックな学びの特徴
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学びには、身体、感情、知性、精神のすべての面がふくまれる。
A
知ることと学ぶことには、多くの道がある。(言語的知性・論理数学的知性・空間的知性・音楽的知性・運動感覚的知性・対人関係的知性・個人の内面的知性)
B
学びには努力と遊びの両面がある。
C
学びが促進されるのは、心がやすらぐ環境にいるときである。
D
学びが促進されるのは、生徒や学生が意欲的に学習にとりくみ、それをなしとげるときである。
E
学びが促進されるのは、それが実際の生活に関係しているときである。
F
〈自己〉を知ることは、ホリスティックな学びの核心である。
G
成長や発達は大人になってからもつづく。
H
学びには、過去の条件づけを解き放つはたらきもふくまれる。
I
直観は、すぐれた知のあり方である。(生理的直観・感情的直観・知的直観・精神的直観)
〔ジョン・P・ミラー(1997)『ホリスティックな教師たち』学習研究社、PP.33-51〕