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中学生と裁判ウォッチングにゆこう!

 

「サイウォッチ」ファシリテーター・Mr.NARICK

 

 

 

 

1 なぜ中学生と一緒にゆくの?

 

まず、何のために中学生と裁判ウォッチング(以下、サイウォッチと呼ぶ)にゆくのか、ファシリテーター(促進者)としてのねらいやねがいがあるはずだ。

 

対象は、中学何年生なのだろうか。たぶん、中学3年生か、もしかすると中学2年生ってこともある。

 

いずれにしても、必修の中学社会科公民の「司法権と裁判」の学習をする前にゆくのか、したあとでゆくのかでねらいやねがいも異なるし、また、選択教科でゆくのではまた違いも大きいかもしれない。

 

ファシリテーターのひとりであるMr.NARICKがかつて担当していた中3の選択教科「犯罪学ゼミ」の場合、こんなねらいを定めていた。

 

 

  犯罪〉というキーワードのもとに、教室の中だけではない様々な「出会い」を通して「生きる意味」を探り合い、さらには「社会的な正義」とは何かを考える。

 

@    犯罪をめぐる法学・心理学上の基礎的・基本的な知識・情報を持つ。

A    裁判傍聴という体験を通して、犯罪と人間とのかかわりについて考える。

B    個人またはグループで行った見学・調査・研究の成果を他者に伝達・交流する。

C    コンピュータをはじめとする多様なプレゼンテーションの手段や方法を生かす。

 

 

ちょっと、大げさなねらいのようだが、実際にサイウォッチをしてみると、決して大げさでもないことが分かるはず。

 

 

2 事前にどんな準備がいるの?

 

 

東京地方裁判所・総務課広報係03‐3581−5411(内線3131)に電話して、おおよその人数を申し出て、中学生にふさわしい(分かりやすく、ためになりそうな)裁判を探してもらうんだ。

 

Mr.NARICKは、まだ、刑事裁判にしか連れていったことはないが、法学の専門家たちの話を聞くと、異口同音に民事裁判がいいと言う。

 

来年3月の春休みには、民事のサイウォッチにゆく予定だ。これまでウォッチしてきた刑事裁判のほとんどが覚せい剤に関するものだ。そして、被告人のほとんどが青年の裁判だった。最近は、通訳をはさんで外国人(女性)の裁判も傍聴することが多くなってきた。

 

一度、傍聴券の抽選にチャレンジし、薬害エイズの訴訟も傍聴したことがあった。参加者全員が抽選に当たることはなく、40名連れていって2名だけ傍聴できたということもあった。外れた子どもたちとMr.NARICKは、別の法廷に入った。

 

裁判傍聴自体は、何の予約もいらず、地裁の入り口を入って正面の受付においてあるリストの時間・内容・法廷・裁判長名などを見て、誰の断りもなくそのままめざす法廷に入ればいいのだが、法廷の大小、内容や予期される傍聴者集団の有無などによっては、いろいろ困難が生じる。おっかない事にも遭遇する事もある。

 

なるべく、事前に広報係の方に相談した方がいい。

 

それどころか、事前に連絡・相談をしておくと、裁判傍聴後に裁判官が残ってくださり、中学生とのクエスチョン・タイムに時間をさいてくださることもあるから、むしろ、事前連絡は必ずした方がいい。

 

「犯罪学ゼミ」の子どもたち17名全員とその他の中学3年生全員にも裁判ウォッチングへの参加を呼びかけた。一応、先着30名という限定で募集した。

 

ファシリテーターひとりに30名とか、40名とかは正直言ってきつい。そんなとき、同僚の教師を誘ったり、卒業生で法学部に行った子ども?を呼んでファシリテーター役をやらせたりすることもある。

 

今年は、裁判ウォッチングに興味を持たれた副校長と保護者の方にもご参加いただいた。

 

今年、実際に参加した中学生は、29名。自分が担任している学年だと1クラス分以上40数名が参加することもある。

 

「司法権と裁判」の授業をしているいないにかかわらず、別紙プリントを配布し、直接、事前にミーティングを行い、諸注意の徹底を図っている。

 

別紙プリントには、傍聴上の諸注意はもちろん、先輩が書いた裁判ウォッチイングの感想文を掲載したり、ねらいや課題を明確にしたりする。

 

今年は、特に安田さんにも事前に確認・了解を得たことだが、出来る者は傍聴メモやスケッチをしようと呼びかける。(ともかく余計な音をたてないようにすること)

 

また、服装は、特に自由だが、これまでほとんど制服で集合させている。自由にしてもできるだけ派手なものを避けさせている。(ちなみに刑務所ウォッチング―中学生はまだ無理らしい―では、ミニスカートはだめとか、色は紺系とかきびしい)

 

あと、副教材『あすの共生をめざす公民テーマ資料』(正進社)のPP.36-39がいい。

 

 

3 実際の裁判所ではどんなことに注意したらいいの?

 

ともかく私語は厳禁。地裁の法廷に昇降するためのエレベーターの中では、時に手を拘束された被告人と同乗することもある。

 

推定無罪の原則!判決が出るまでは犯人ではない。言葉や視線に注意させたい。

 

裁判公開の原則!確かにそうだが、傍聴してゆくと、次々と被告人のプライバシーが明らかになってゆく。被告人にとっては、物見遊山できた?中学生たちに、わがプライバシーの一部始終を聞かれてしまうのも事実だ。

 

必ずできるわけじゃないが、裁判官とのクエスチョン・タイムのために、事前に質問を考えさせてみたり(これは結構むずかしい)、今見た裁判・法廷で沸いてきた質問・疑問を大切にするようあらかじめ促したりしておきたい。

 

開廷時間の5〜10分前には、エレベーター等で法廷のあるフロアに進もう。実際の法廷が並ぶ通路の奥に控え室があるので、法廷に入る前や後にミーティングルームとして利用できる場合が多い。(もちろん、被告人等の関係者がいたりする場合もあるので注意)

 

Mr.NARICKは、普通、10:00開廷の裁判を傍聴させているが、終わったあと、地下に引率して売店―特に法律関係の本屋―などを覗かせてやっている。

 

もし、おなかがすいていれば、格安の定食等食べられる食堂もあるのでみんなで食べることもある。

 

官庁街には格安地下食堂がたくさんあるが、一番おいしいのは農林水産省だと言われている。地裁の地下食堂もまあまあというところか。

 

 

4 事後にどんなことをしたらいい?

 

Mr.NARICKは、いままで必修のレポートを課したことがない。

 

というのも中3もしくは中2の春休みに連れてゆくことが多く、卒業してしまう子どもたちが多かったため、必修にはできなかった。

 

そのため、参加費と称して50円か80円かのはがきか切手を用意させ、はがきか手紙で感想をくださいね、とお願いするだけだった。

 

しかし、Mr.NARICKの宿題は出さないくせに、この感想はがきや感想お手紙は自発的に出してくる子どもがいるから怖い。

 

教室の中の絵空事にはない迫真の現場そのものがものを言う。

 

子どもたちの内側に沸き起こる感想や意見や疑問.......、ごく自然のなりゆきで書いてくることに感動を覚える。

 

今年は、5月下旬、開校記念日が月曜日だったので、ラッキーだった。

 

でも、全員の感想を確実に集められるチャンスだったが、あえて必修にしなかった。

 

ただ、明日も会える中3の子どもたちなので感想はがきや感想お手紙ではなく、レポートを書きたくなったら、書いてみようと誘ってみた。

 

すると、どうだろう。

 

翌日、裁判の流れがよく見える記録と感想のレポートが出てきたことにはびっくり仰天。

 

その後、それに負けず劣らずすごい自主レポートが続々出てきたり、絵が得意なある子はテレビの裁判ニュースのスケッチを思わせるような傍聴スケッチに着色して三枚も添えたレポートを出してくれたりした。

 

これらの成果をもとに「犯罪学ゼミ」の子どもたちは、10月の学芸発表会展示部門で傍聴した裁判をもとに自分たちで台本をつくり「模擬裁判」を演じ再現し、それをビデオに録画して発表した。

 

こうした子どもたちの学習活動を秋にやってきた教育実習生にも紹介し、「司法権と裁判」の学習指導計画の中にも反映させた。

 

教育実習生は、みずから八王子にある地裁支部へサイウォッチにゆき、教材づくりをして授業に臨んだ。その大学生にとってもサイウォッチははじめての経験だったようだが、実体験をもとに説得力のある授業を展開できて舞い上がっていいた。

 

Mr.NARICKは、Mr.NARICKで実体験に裏付けられた教材研究の迫真性を再確認させてもらった。

 

話は、中学生のことに戻ろう。今年の子どもたちの築き上げたたくさんの成果を後輩たちに伝え、蓄積してゆくことに大きな意味があるように思われてならない。

 

それは、まさに教材・学習材の共同開発・共有財産だ、子どもたちとファシリテーターとのね。 

 

たった今、これを書いているとき、偶然にも卒業生T.I君が遊びに来た。

 

以前に、サイウォッチで裁判官とのクエスチョン・タイムを経験したときの卒業生だ。

 

拙著『中学校社会科授業ディベートの理論と方法』(明治図書)の中でも登場してもらったこともある。

 

あのサイウォッチの印象は強烈だったようで、あのとき以来、大学でも法律を勉強し続けているそうだ。

 

彼とすっかりはなし込んでしまって、このメモの完成は日付を越すはめになった。

 

 

5 参考文献・資料・情報はどんなものがある?

 

東京地裁にゆくなら、まず、おすすめは、『東京地裁ってどんなところ?』(公人社)だ。

 

これは、地裁の地下でも売っている。

 

Mr.NARICKは、この1冊で裁判ウォッチイングをはじめた。

 

あと、こんな本もある。

『法廷傍聴に行こう』(法学書院)『裁判傍聴ハンドブック』(花伝社)。

 

また、今年、1999年に出た本に『図解裁判傍聴マニュアル』(同文書院)がある。

 

書籍は、それぞれに相性がある。実際に手に取って見てから購入しよう。

 

資料としては、地裁が出しているパンフレット・リーフレット(無料)がある。

 

  これは、事前に地裁の総務課広報係(7階だったかな?)に行って人数分もらうといい。

 

前もって電話で人数を言って、用意しておいてもらい、 当日、法廷のフロアに上がる前に顔を出し、資料を頂いてこうよう。

 

裁判ウォッチングの会(井澤光朗弁護士) という会もある。

 

Phone 03‐3353‐1911    Fax  03‐3353‐3420

 

東京地裁で知り合った弁護士井澤さんが、やっていらっしゃる会だ。

 

Mr.NARICKなどの素人に語れないまさに専門家の裁判談義が聞けるので、お願いするのもいい。

 

ただし、MR.NARICKはお願いしたことがないので、もし、ご利用される場合は、直接、連絡をとってほしい。

 

さらに、インターネットでネットサーフィンしてみよう。

たとえば・・・・・。

 

裁判所」 (裁判所のしくみ)

( 東京地方裁判所 )

 

『死刑』から高橋和利さんを取り戻す」 

鶴見事件とは ) ( 自白強要にいたる模擬劇のシナリオ )

 

あと、大切なのは、子どもたちの保護者やファシリテーター自身のコネクション・人的ネットワークだ。

 

Mr.NARICKの場合、過労死問題の川人博弁護士(著書に『過労自殺』岩波新書や『時代の流れから−いま、人権を読む』リブリオ出版など多数)は、偶然だが、教え子の父親だった。

 

かつて裁判ウォッチングにも来て頂いたり、資料・情報をお送り頂いたり、また、時折メールのやりとりなどもさせてもらっている。

 

くどくど長々と書き連ねてきたが、準備万端なんかじゃなくって、準備そこそこに行動しよう。

 

Junbiさん」と「Koudoさん」とは寄り添い並び歩くもの!

 

さあ、中学生と裁判ウォッチングにゆこう!

 

 

Copyright(C)NARITA Kiichirou1999-2004

 

 

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